今日は前回に引き続き消費者契約法のおはなし。

今回は消費者契約法とは直接関係ないのですが、

消費者問題を裁判で争う時にどんなことが問題になるか、です。

消費者契約というのは、事業者と消費者の間の契約です。

この点、事業者と言うのはたった1人の消費者と契約するわけではなく、

同種の契約を不特定多数の人間と契約するわけですから、

ひとたび問題が起きると、たくさんの被害者が出ます。

昔なら森永ヒ素ミルク事件とか、豊田商事事件、

最近なら和牛商法といったところが好例でしょうか。

この時、正直、1人1人の損害賠償請求というのは、

単独で裁判を起こした場合にかかる裁判費用を考えると

割に合わないのです。

つまり少額多数被害が生じるのです。

そう考えると、裁判を起こすのは費用面や精神面の負担を考えると

躊躇せざるをえない。

そこで、被害にあった消費者が一致団結して団体訴訟を提起して

争うという考え方があります。

こうすると、裁判費用は被害者で按分すれば単独で裁判をするより安くすみます。

(それでも決して安くは無いし、精神的な負担は大きいですが…)

ただ、この消費者問題における団体訴訟というのは法整備がされておらず、

民事訴訟法の共同訴訟等の方法によることになり、

この点につき法整備の必要があるといわれています。

さて、実際に訴えが提起され、訴訟追行がなされ、

判決で損害賠償請求が認容されたとします。

この時、今後の一般的予防という見地から

懲罰的損害賠償も認めるべきではないか、という見解があります。

多額の懲罰的損害賠償を支払わせることで、

企業により一層の注意を促すということです。

アメリカなんか百何十万ドルなんて額が認められることがありますが、

日本の法制度では行為と損害との間に因果関係が認められなければ

損害賠償は認められません。

そこで、これも民法の特別法として認めるべきではないか、という議論があります。

さて、こんな裁判を起こすほどではないけれど、

でも腹の立つことは消費者問題の場合よくあります。

変な商品つかまされた、なんていうのがいいケースですね。

この場合、事業者に直接いちゃもんつけるのもありですが、

実際的ではありません。

法律の専門家を頼む方法もありますが、

ちょっと費用面に問題があります。

そこで消費生活センターのような、裁判外紛争解決手段を

どのように整えるべきかが課題になります。

現在のところ、国民生活センター・消費生活センターの拡充や、

その他ADR(=裁判外紛争解決)の設置・機能強化

(例えば仲裁法の創設)が図られ、

また、推進されています。

今日はこんなところでおしまい。

次は…何しましょう(笑)

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