消費者契約法のおはなし その1
2003年10月29日昨日予告したので、その翌日に早速。
その2はいつになるか不明です(笑)
今回はなんで消費者契約法という法律ができたのかというお話。
消費者契約とは事業者と消費者が交わす、
売買契約を主とした契約のことを言います。
(専門用語で「B2C」と言ったりもします)
ここにいう事業者は個人事業者・法人事業者のいずれもです。
で、かつては、消費者契約の場合は
犯罪に近い契約でなければ民法を適用することができなかったので、
大抵の場合は泣き寝入りしかなかったんです。
そこで行政がルールを作って規制するようになったのです。
その規制方法が、割賦販売法や特定商取引法(旧訪問販売法)のような
個別法だったのです。
でも、行政による規制では対処療法にすぎず、
根本的な解決にはならないわけです。
新手の脱法的悪徳商法が出てきても、対応が後手後手になりますから。
それに個別法も民法も適用できないグレーゾーンが出てきてしまうのです。
そこで、行政による規制(=事前規制)ではなくて、
消費者契約全般における民事ルールを策定して、
それに基づいて事業者は元より、
消費者にも従来通り自己決定原則から導かれる
自己責任原則に基づきで契約してもらおう、
だけど、従来通りを貫くと不都合も起きるから、
不都合が起きた時は消費者の自己責任原則を修正しよう、
という話になっていったのです。
そこで、まず人間の生命・身体に直接関わる
消費者の安全を守る法として製造物責任法ができました。
これにより、企業は製造物についてより重い責任を負うことになりました。
そして、その後、
消費者が事業者と取引をする場合のルールを策定することとなり、
消費者契約法ができたわけです。
そして消費者契約法を遵守しない契約は取消し
又は無効となるのです。
ちなみに、消費者契約法は民法・商法の適用を排除していません。
前者は後者の特別法になり、
特別法は一般法を破るという原則があるのですが、
法自身が並存という形を認めています。
これは消費者契約法が、行政規制の当時に策定された
個別法と民法・商法の間隙を埋める趣旨を包含しているからです。
敷衍すれば、民法が適用できないが悪性を有する契約につき、
消費者契約法を適用するということです。
また、消費者契約法が適用された場合、
その効果(=取消・無効)は
民法が規定しているのと同じ意味だから、ということもあります。
さらに消費者契約法自身、
自ら消費者契約に関する個別法がある場合は、
それが優先する旨を定めています(11条2項)
後法が前法を破るのが原則なんですが、法が例外を認めているのです。
これは、行政規制が中心だったころに作った個別法を
なお運用するために設けられた規定です。
個別法が制定された背景・事情に鑑みてといったところでしょうか。
例えば、宅地建物取引業法38条は債務不履行を理由とする
契約の解除に伴う損害賠償の額の予定の上限を契約代金の2割としていますが、
これは損害賠償の額の予定を定めるのは無効とする
消費者契約法9条1号に抵触(=してしまうのです。
でも、消費者契約法11条2項により宅地建物取引業法のほうが優先するのです。
こうして、これからの消費者契約は、行政による事前規制から、
法で定められたルールに基づいて契約を自己責任で行うという、
民事ルールへと変容していったのです。
ちなみに消費者保護基本法というのがありますが、
これは単なる訓示規定です。
なので取消等の効力は生じません。
次は消費者契約法が定められたものの、
なお抱える裁判(司法)上の問題点について
お話してみたいと思います。
その2はいつになるか不明です(笑)
今回はなんで消費者契約法という法律ができたのかというお話。
消費者契約とは事業者と消費者が交わす、
売買契約を主とした契約のことを言います。
(専門用語で「B2C」と言ったりもします)
ここにいう事業者は個人事業者・法人事業者のいずれもです。
で、かつては、消費者契約の場合は
犯罪に近い契約でなければ民法を適用することができなかったので、
大抵の場合は泣き寝入りしかなかったんです。
そこで行政がルールを作って規制するようになったのです。
その規制方法が、割賦販売法や特定商取引法(旧訪問販売法)のような
個別法だったのです。
でも、行政による規制では対処療法にすぎず、
根本的な解決にはならないわけです。
新手の脱法的悪徳商法が出てきても、対応が後手後手になりますから。
それに個別法も民法も適用できないグレーゾーンが出てきてしまうのです。
そこで、行政による規制(=事前規制)ではなくて、
消費者契約全般における民事ルールを策定して、
それに基づいて事業者は元より、
消費者にも従来通り自己決定原則から導かれる
自己責任原則に基づきで契約してもらおう、
だけど、従来通りを貫くと不都合も起きるから、
不都合が起きた時は消費者の自己責任原則を修正しよう、
という話になっていったのです。
そこで、まず人間の生命・身体に直接関わる
消費者の安全を守る法として製造物責任法ができました。
これにより、企業は製造物についてより重い責任を負うことになりました。
そして、その後、
消費者が事業者と取引をする場合のルールを策定することとなり、
消費者契約法ができたわけです。
そして消費者契約法を遵守しない契約は取消し
又は無効となるのです。
ちなみに、消費者契約法は民法・商法の適用を排除していません。
前者は後者の特別法になり、
特別法は一般法を破るという原則があるのですが、
法自身が並存という形を認めています。
これは消費者契約法が、行政規制の当時に策定された
個別法と民法・商法の間隙を埋める趣旨を包含しているからです。
敷衍すれば、民法が適用できないが悪性を有する契約につき、
消費者契約法を適用するということです。
また、消費者契約法が適用された場合、
その効果(=取消・無効)は
民法が規定しているのと同じ意味だから、ということもあります。
さらに消費者契約法自身、
自ら消費者契約に関する個別法がある場合は、
それが優先する旨を定めています(11条2項)
後法が前法を破るのが原則なんですが、法が例外を認めているのです。
これは、行政規制が中心だったころに作った個別法を
なお運用するために設けられた規定です。
個別法が制定された背景・事情に鑑みてといったところでしょうか。
例えば、宅地建物取引業法38条は債務不履行を理由とする
契約の解除に伴う損害賠償の額の予定の上限を契約代金の2割としていますが、
これは損害賠償の額の予定を定めるのは無効とする
消費者契約法9条1号に抵触(=してしまうのです。
でも、消費者契約法11条2項により宅地建物取引業法のほうが優先するのです。
こうして、これからの消費者契約は、行政による事前規制から、
法で定められたルールに基づいて契約を自己責任で行うという、
民事ルールへと変容していったのです。
ちなみに消費者保護基本法というのがありますが、
これは単なる訓示規定です。
なので取消等の効力は生じません。
次は消費者契約法が定められたものの、
なお抱える裁判(司法)上の問題点について
お話してみたいと思います。
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